最終更新日:2022年9月21日
土地の値段は一つではなく、目的によって異なります。今回は、土地の値段について解説します。
【この記事を読んで得られること】
- 土地の値段は目的によって異なる?
- 不動産を活用した節税対策は、土地の値段の価格差を利用?
- あまりに過度な節税対策には注意が必要?
土地の値段は「一物五価」
実際に取引された土地の価格を「実勢価格」といいます。その他にも、次のような地価があります。
公示地価
国土交通省が毎年3月に公表する全国の地価を定めるものです。基準日は1月1日です。一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準となっています。調査地点数は約26,000件です。
基準地価
国土交通省が毎年9月に公表する土地の価格です。基準日は7月1日です。公示地価とほぼ同じですが、調査の主体は都道府県です。調査地点数は約21,000件です。
【参考】国土交通省「地価公示・都道府県地価調査」
路線価
国税庁が毎年7月1日に公表する相続税や贈与税の算出のために決めている土地の価格です。基準日は1月1日です。公示地価の約80%です。調査地点数は約320,000件です。
【参考】国税庁「路線価図・評価倍率表」
固定資産税評価額
各市区町村が、原則として3年に1度3月1日に公表する土地の価格で、固定資産税の算定基準となります。基準日は1月1日です。前年の公示地価の約70%です。
【参考】東京都「固定資産税の路線価」
以上をまとめると以下のようになります。

種山公認会計士事務所作成(無断転載・転用不可)
不動産を使った節税対策
上表では、路線価は、公示価格・基準価格の80%となっています。つまり、100で購入しても相続税評価額は80となります。また路線価がない地域の土地は、固定資産税評価額の倍率で評価されます。建物は固定資産税評価額が相続税評価額となります。したがって、現金を100で持っているよりも、不動産を購入したほうが、相続税評価額は低くなります。
また、貸家建付地といって、所有土地に貸家(アパート等)を建てるとさらに相続税評価額は低くなります。さらに、借入金で貸家を建てると、相続税評価額はマイナスになります(不動産の評価額が下がり、借入金のほうが多い状態になるため)。
最近では、1992年に制定された改正緑地法の期限が2022年であり、以前の農地であったところに続々とアパートが建っているのはこのためです。
2022年4月19日最高裁判決について
原告は、財産評価基本通達で定められている評価額(路線価)を使って相続税の申告をしました。しかし、過度な相続税対策で租税負担の公平に反するため、国税庁が採用した不動産鑑定額を使って相続税の申告をするように、最高裁の判決が出ました。今後も以下の要件を満たすような相続対策には注意が必要です。
- 近い将来、相続が発生すると予測される者が、
- 相続税の負担軽減を目的として、
- 銀行から多額の融資を受け、
- 不動産を購入し、
- 通達評価額(路線価)と時価とに大きな乖離がある相続税の申告を行った
まとめ
今回は一物五価といわれる土地の値段について解説しました。土地は目的によって値段が異なり、この価格差を使って節税対策が行われています。しかし、不動産を活用した相続税対策が否決される最高裁の判決がでました(2022年4月19日最高裁判決)。今後はより慎重な対策が必要になってくると思われます。
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