種山会計士

会社の経営資源「ヒト、モノ、カネ、情報」のうち、「カネ」の管理ツール「資金繰り予測表」について解説します。

※この記事は、2022年6月28日に初公開した記事に最新情報を加味して更新したものです。

資金繰り予測表とは?

企業や事業における将来の収入と支出を予測し、現金の流れを見える化する表のことです。また、現金の流れをキャッシュフローとも言います。資金繰り予測表は、中小企業や個人事業主にとって、資金ショートを避けるために必要不可欠なものです。

  • 収入の予測: 売上やその他の収入を月単位や週単位で予測します。
  • 支出の予測: 人件費、仕入れ、家賃、その他経費などの支出を予測します。
  • 収支の予測: 収入と支出の差を計算し、将来的な資金の増減を把握します。どの時点で資金不足が発生するかを確認し、対策を立てます。

資金繰り予測表はなぜ重要か

  • 将来の現金の流れを予測し、資金ショートする場合事前に対策が打てます
  • 現金と会計上の利益は連動しないため、現金の流れを別途把握できます
  • 銀行から融資を受ける際や条件緩和を受ける際に必要です。資金繰り予測表を作成している=管理体制がしっかりしている、という印象を受けます。
  • キャッシュフローを事前に把握することで、経営判断のスピードが上がります。また、融資や資金調達のタイミングを逃さずにすみます。
  • 将来の投資や大きな支出に備え、リスクマネジメントが可能になります。

キャッシュフロー計算書との違い

キャッシュフロー計算書は、過去の現金の流れを「営業活動」「投資活動」「財務活動」に分解して、どの活動からキャッシュが生み出されているのか、把握・分析することが目的です。基本的には「年間」が単位です(上場企業は四半期ごとに公表していますが、、、)。また、上場企業には必須の財務諸表ですが、未上場企業は必須ではありません。そのため、自社のキャッシュフロー計算書を見たことがない経営者がほとんどだと思います。

これに対して、資金繰り予測表は、将来の予測と過去の実績の2種類があります。特に、将来の現金の流れの予測が重要です。また、基本的には「月」が単位ですが、「日」が単位の日繰り表を併せて作成することにより、現金管理の精度があがります。

資金繰り表の種類

資金繰り予測表には、大きく「月」単位、「日」単位の2種類があります。作成方法として、まず過去1年分の資金繰り実績表を作成してください。エクセルで作成し、出来上がったシートをコピーし、それをベースに資金繰り予測表を作成するのがベストです。

  • 資金繰り予測表(将来3~6か月程度の予測)
  • 資金繰り実績表(過去の実績)
  • 日繰り表(日別の預金推移表)

会員登録【無料】して頂くと、以下の月次資金繰り表、日繰り表のサンプルフォームが無料でダウンロードできます。また、入力時の注意事項をダウンロードページで解説しています。

資金繰り表サンプルフォーム

種山公認会計士事務所作成(無断転載・転用不可)

日繰り表サンプルフォーム

種山公認会計士事務所作成(無断転載・転用不可)

まとめ

「黒字倒産」という用語があります。利益が計上されていても、資金がショートしてしまえば事業継続できません。会社経営にあたって、事業計画を策定してPDCAサイクルを回すのが理想的ですが、できない場合であっても、最低限、資金繰り予測表を作成することをお勧めします。