公認会計士・税理士 種山 和男 のブログ

売上高は税込処理か、それとも税抜処理か

最終更新日:2022年11月30日

今回は、消費税の会計処理(税込経理方式・税抜経理方式)について解説します。免税事業者、課税事業者の区分と混合されている方も多いので、この点についても解説します。

【この記事を読んで得られること】

  • 消費税の会計処理には税込経理方式と税抜経理方式がある
  • 免税事業者は税込経理方式のみ
  • どちらの処理方法がよいのか

会計処理には税込処理、税抜処理がある

会計帳簿に記帳の際、消費税の処理方法として、税込経理方式税抜経理方式があります。税込経理方式とは、仕訳を計上する際に取引の総額で処理する方法のことです。税抜経理方式とは、取引金額に含まれる消費税を分けて処理する方法のことです。
次に、具体的に仕訳でみていきます。事例は以前のブログでも出てきたA社を使用します。

種山公認会計士事務所作成(無断転載・転用不可)

A社の取引を仕訳で示すと以下のとおりです。損益計算書の利益はどちらも1,000で一致します。

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【参考】国税庁タックスアンサー「No.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理

課税事業者はどちらの方式も採用できる。

課税事業者であれば、税込経理方式、税抜経理方式のどちらも選択が可能です。また、免税事業者は、消費税の計算をする必要がないため、税込経理方式のみです。

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なお、課税事業者、免税事業者については、以下のブログをご参照ください。
【参考】ブログ「消費税の課税事業者・免税事業者とは?

どちらの処理方法がよいのか

免税事業者は税込経理方式のみで選択の余地がありませんが、課税事業者の場合、どちらを選択するかで判断基準が異なるケースがあります。例えば、減価償却資産の10万円未満のものは一時に損金算入できますが、その判定の基礎となる金額は、選択した経理方式で判定することになります。つまり、税抜経理方式を選択していれば、99,999円(税抜金額)までは一時に損金処理できますが、税込経理方式を選択した場合、90,909円(税抜金額、消費税10%)が判定基準となります。その他、交際費等についても同様です。また、利益率や経営指標が消費税の影響を受けないように、経営管理上は税抜経理方式のほうがよいと思います。

まとめ

今回は、消費税の処理方法について解説しました。課税事業者・免税事業者の区分と処理方法が混合されている方も多いのでご注意ください。なお、上場企業及びグループ会社は、ほとんどが税抜経理方式です。また、中小企業は税込経理方式が多いように思います。消費税の処理方法は、決算書の会計方針に記載されています。一度、自社の経理方式を確認してみてください。そもそも決算書に会計方針が添付されていない場合は、顧問税理士に確認してください。

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