種山会計士

このコラムでは、後継者が押さえるべき経営数字の考え方を、実務に沿って整理します。

現経営者が後継者に伝えたい論点(経営数字)

事業承継においては、業務理解や現場経験が先行しやすい一方で、経営数字は「意識して確認する機会」を設けない限り、後回しになりやすい領域です。

また、資金繰りが悪化してから相談に至るケースでは、「現状の数値が、どの要因で変動しているか」を社長自身が説明できないことがあります。

その際に多いのが、次の趣旨の発言です。
「会社の数字は、顧問税理士に任せています」

顧問税理士に任せること自体は合理的です。
ただし、事業承継局面では、社長・後継者が担うべき役割として「判断(何を実施し、何を見送るか)」と「説明(なぜその結論になるか)」が残ります。

資金は企業活動の継続性に直結します。
したがって、最低限の経営数字を、社長・後継者が共通言語として把握できる状態にしておくことが重要です。

経営数字の把握には3つのレベルがある

では、「財務・会計」はどの程度まで押さえるべきでしょうか。
経営数字の把握は、一般に次の3段階に整理できます。

  1. 決算書を「読む」ことができる
  2. 決算書を「作成」できる
  3. 決算書を「経営判断に活用」できる

決算書を「読む」ことができる

経営者・後継者として、まず到達しておきたいレベルです。
決算書を作成することと、読むことには差があります。
ただし、読むことができれば、利益と資金のズレ、資金の滞留要因等を把握しやすくなります。

決算書を「作成」できる

日々の仕訳や決算仕訳を入力し、自社で決算書を作成できるレベルです。
ただし実務上は、会計基準・税法等の知識を要するため、会計事務所に依頼している会社が多いのが一般的です。

なお、「自計化」により、社内で数値をより迅速に把握できる利点はありますが、承継の局面で重要なのは「作成そのもの」ではなく、「意思決定に必要な情報が適時に揃う運用」を確立することです。

【参考】コラム「取引発生から決算書の作成までの流れ

決算書を「経営判断に活用」できる

決算書データを用いて、粗利率・労働分配率・運転資金等の推移を分析し、会社の状態を把握したうえで、経営計画や打ち手の優先順位へ接続するレベルです。

この領域は、社内だけで完結させるより、外部専門家と役割分担しながら、分析→判断→実行の型として定着させる方が効率的な場合があります。

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まとめ

  • 承継局面では、社内外へ「結論と根拠」を説明する必要があるため、経営数字の把握が意思決定の前提になりやすい。
  • 財務・会計は、①読む、②作成する、③経営判断に活用する、の3段階に整理できる。
  • 後継者にとって重要なのは、作成作業そのものよりも、意思決定に必要な情報が適時に揃い、判断と実行に接続できる運用を確立すること。
  • まずはチェックシートで論点と順序を可視化し、必要に応じて伴走支援で会議体・KPI・役割分担として運用設計まで整備する。