最終更新日:2022年12月16日
事業計画を策定して月次で予算実績分析をしていると、決算日前に最終利益の予測が出来るようになります。最近は生命保険などの節税対策は封じ込められつつある状況です。今回は、中小企業倒産防止共済制度(以下、「経営セーフティ共済」)を活用した節税対策についてまとめました。
【この記事を読んで得られること】
- 経営セーフティ共済とは?
- 経営セーフティ共済による節税対策とは?
- 経営セーフティ共済を活用する際の注意点は?
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済は、中小企業倒産防止共済法に基づく共済制度です。取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐことを目的として、1978年にスタートしました。(独)中小企業基盤整備機構(経営セーフティ共済)が運営しています。
【2022年12月16日追記】
2022年12月15日に中小企業庁にて、共済小委員会(第20回)が開催され、「中小企業倒産防止共済制度の今後のあり方について(仮)」が公表されました。以下の数値は当該資料から抜粋しています。
加入者数は
本制度の2022年3月末における在籍件数は591,024件。
掛け金額について
2022年3月末における在籍者の平均掛金月額は約10万6千円。2021年度単年度では、新規加入者の平均掛金月額は約15万2千円。そのうち、20万円を積み立てている新規加入者の比率は 64.9%。

出典:中小企業庁「中小企業倒産防止共済制度の今後のあり方について(仮)」
共済に加入できる要件は?
継続して1年以上事業を行っている必要があります。また、会社または個人事業主の場合、以下の各業種において、いずれかの要件を満たす必要があります。

出典:(独)中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」
この他、企業組合、協同組合なども加入できます。ただし、医療法人、農事組合法人、NPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人等は加入できません。
経営セーフティ共済のメリット
主なメリットは以下のとおりです。
- 取引先が倒産後、無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
- 取引先が倒産後、すぐに借入れできる
- 掛金を損金、または必要経費に算入できる
- 解約手当金が受けとれる
- 取引先が倒産していなくても、解約手当金の95%を上限として借入れできる
取引先が倒産後、無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
取引先事業者の倒産によって売掛金の回収が困難となった場合、無担保・無保証人で借入をすることができます。ただし、共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。
取引先が倒産後、すぐに借入れできる
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。審査はありません。また、事業計画などの準備も不要です。
掛金を損金、または必要経費に算入できる
掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。法人の場合、掛金を損金として計上できます。また個人事業主の場合、必要経費に算入できます。
解約手当金が受けとれる
共済契約を解約した場合、解約手当金を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。会計処理は、法人の場合、解約手当金を営業外収益あるいは特別利益として計上します(益金として計上)。また個人事業主の場合、事業所得の収入額となります。
取引先が倒産していなくても、解約手当金の95%を上限として借入れできる
取引先事業者が倒産していなくても、臨時に事業資金が必要な場合、借入れができます(一時貸付金)。上限は解約手当金の95%です。最低30万円以上、返済期間1年間です。なお、担保・保証人は不要です。現在の利率は0.9%で、借り入れた際に減額されます(前払い)。
節税の意味
節税とは、非課税制度・控除制度等を活用して適法に税金額を減額することです。
したがって、掛け金を拠出した際は損金になり結果的に税金額が減額されますが、解約した際の手当金は益金になり税金がかかります。つまり、節税ではなく課税を繰り延べているだけです(課税の繰延効果)。ただし、解約した手当金が戻ってきた際に繰越欠損金(過去からの赤字額)があれば、解約手当金に税金はかかりません。結果的に、掛金拠出時の節税金額を得したことになります。ただし、この節税は現金が出ていきますので、資金繰りとの兼ね合いも検討する必要があります。
経営セーフティ共済の注意点
この共済には上記のようなメリットがありますが、以下の点については注意が必要です。
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