「取引発生から決算書の作成までの流れ」は、オーナー経営者が経営数字を把握するためにも必要な知識です。
経営数字の把握には3段階ある
ブログ「後継者が必ずやっておくべきこととは?」では、経営数字を把握する3つのレベルについて解説しました。
①決算書を読むことができる
②決算書を作成できる
③決算書を経営に活かすことができる
どのレベルであっても、経営数字を把握するためには、決算書がどのような流れで出来るのか、理解しておく必要があります。
中小企業庁「「中小会計要領」の手引き」のA商事株式会社を使用して、流れを解説します。
決算書作成までの流れ
「取引の発生から決算書作成までの流れ」は以下のとおりです。
取引の発生⇒仕訳帳への記帳
仕訳帳とは、すべての取引を日付順に記録する帳簿のことです。仕訳帳への記帳は、取引が発生する都度、行います。ただ、その日のうちに入力しなければならないわけではなく、後日まとめてでも構いません。
仕訳の日付は、入力日ではなく、取引した日付で入力します。会計業界では、仕訳を記帳することを、仕訳をきる、という言い方をする人もいます。
また、仕訳は借方、貸方に同じ金額を入れていきます。したがって、常に貸借の数字が一致しています。
なお、決算整理仕訳と対比して、会計期間内の日付で入力する仕訳を期中仕訳といいます。
以下は、3月決算の法人(A商事株式会社)の記載例です。
3/31の仕訳は、決算整理仕訳と呼ばれます。決算の際に最終修正を行うために計上する仕訳のことです。減価償却費の計上、貸倒引当金の計上などがあります。
仕訳帳⇒総勘定元帳への記帳
総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿です。
会計ソフトを使用している場合、仕訳を計上すれば、仕訳帳から自動的に総勘定元帳に転記されます。
複式簿記ではなく単式簿記で記帳している場合、いきなり総勘定科目ごとに金額を集計していくことになります。単式簿記の貸借を一致させる手間がかかるのはこのためです。
なお、下記は、「現金」「売掛金」「売上高」の総勘定元帳の記載例です。
総勘定元帳⇒決算書の作成
総勘定元帳の各勘定科目の残高を決算書の勘定科目に転記します。
会計ソフトを使用している場合、決算書はほぼ自動的に作成されます。下記の事例は、上記の仕訳帳、総勘定元帳をもとに作成された貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書です。
個別注記表
以上、A商事株式会社の「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本等変動計算書」を解説しました。これに加えて「個別注記表」も必要です。これは決算書の取扱説明書に該当するものです。「個別注記表」に記載される事項は、重要な会計方針に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記、などです。下記は、A商事株式会社の「個別注記表」です。
まとめ
今回は、「取引発生から決算書の作成までの流れ」について、ざっくりと解説しました。経営数字を把握することは経営者にとって必須のスキルです。したがって、決算書作成のおおまかな流れについては押さえるようにしてください。