このコラムでは、事業承継計画の作り方を解説します。社長交代、株式移転、後継者育成をどう進めるか。計画に盛り込む内容と策定手順を整理します。
定義
事業承継計画とは、後継者への引継ぎを具体化する計画です。
会社の将来を見据えて、「いつ、誰に、何を、どのように承継するのか」を整理します。
以前のコラムで紹介した「事業承継に向けた5ステップ」の第4段階に該当します。

計画の種類
事業承継計画は、会社の状況によって重点が異なります。
例えば、後継者の経験が不足している場合は、育成計画が重要です。また、株式が分散している場合は、株主構成の整理が課題となります。さらに、社長交代の時期と株式の移転時期が異なる場合もあります。
そのため、経営の承継と資産の承継を分けて確認する必要があります。
なお、事業承継税制で用いる「特例承継計画」は、制度上の書類であって、一般的な事業承継計画とは目的や記載内容が異なります。
事業承継計画の事例
過去コラムで紹介したT社事例を使って説明します。
事業承継には、「経営そのものの承継」「資産の承継」があります。
この事例では、「資産の承継」に重点を置いていますが、実際には、後継者の育成や権限移譲も重要です。

策定手順
事業承継計画は、次の手順で作成します。
- 現状の把握
- 事業承継後の理想とする姿の明確化(基本方針の策定)
- 現状と理想とのギャップの把握(問題点の把握、課題の抽出・整理)
- 課題の優先順位に応じて、対策を計画書に落とし込む
- 課題解決の対策を実行
- 定期的に見直しを行う
まず、会社の経営状況や株主構成などを確認します。そのうえで、承継後の会社の姿を具体化します。
現状と理想の差が明らかになったら、対応すべき課題を整理します。
例えば、後継者の育成は早めに始める必要があります。一方、株式移転の時期は、資金や税負担も考慮して決めます。
重要なのは、何を、どの順番で、いつまでに進めるかを明確にすることです。
計画を作成した後も、進捗状況に応じて見直します。
記入例
以下は、事業承継計画の記入例です。
Aが「事業承継の基本方針」、Bが「事業計画」に該当します。
C・E・Gは「資産の承継」、D・Fは「経営そのものの承継」です。
このように、経営と資産の両面を一つの計画で整理します。

出典:(独)中小企業基盤整備機構「中小企業経営者のための事業承継対策」まとめ
事業承継計画は、作成すること自体が目的ではありません。
重要なのは、現経営者と後継者が承継方針を共有することです。そして、必要な対策を計画的に実行していきます。
特に、経営の承継には時間がかかります。後継者の育成や権限移譲は、早めに取り組む必要があります。
また、計画を作る過程で、現経営者の判断基準を伝えることも重要です。会社の強みや経営理念を共有する機会にもなります。
貴社の事業承継の論点と優先順位を整理します
事業承継では、個別の対策を先に決めないことが大切です。まず、何を、どの順番で確認するかを整理します。当事務所では、税務・財務・経営の論点を一体で確認します。承継方針の検討から計画策定、実行まで支援しています。
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