・事業承継対策で求められる2つの視点とは?
・知的資産とは知的財産と違うのか?
・大切なものほど見えにくい?
このブログは、2021年9月28日に初公開した記事に最新情報を加味して更新したものです。
そもそも事業承継とは?
事業承継とは「現経営者が事業や会社を後継者に引き継ぐこと」です。
引き継ぐ経営資源として、
ヒト・モノ・カネ・情報(知的資産)
があります。
この経営資源を現経営者から後継者にどのように引き継ぐか検討することを「事業承継対策」といいます。以下の図は事業承継の構成要素を図にしたものです。なお、この図の「人」の部分には、「経営権(代表権)」や「経営力」も含まれます。
知的資産とは
「企業における競争力の源泉である、経営理念、代表者のもつ信用、顧客情報、熟練工の持つ匠の技、といった貸借対照表に計上されていない目に見えにくい資産の総称」
のことです。知的財産も含んだ広い概念です。なお、知的資産を会計用語で言い換えると「自己創設のれん」に該当します。
例えば、「営業マンが関係性を構築している得意先のリスト」は、売上に直結する大事な資産です。しかし、貸借対照表には計上されていません(簿外資産)。元社員が顧客情報を持ち出して競合他社に持ち込む事件がときおり起きますが、貸借対照表が棄損するのではなく、「信用」(これも帳簿外の資産)が棄損することになります。その結果、徐々に売上・利益に影響が出てきて、最終的に貸借対照表の純資産の減少という形で貸借対照表が棄損します。なお、以下のブログでも知的資産を解説していますのでご参照ください。
【参考】ブログ「事業価値を高めるには?」
事業承継を考えるにあたっての2つの視点
事業承継を考えるにあたって、以下の2つの側面に配慮する必要があります。
- 「経営そのものの承継」
- 「資産の承継」
経営そのものの承継
「経営そのものの承継」には、業務知識や経験・人脈、リーダーシップ等の「経営ノウハウの承継」、現経営者の経営に対する想いや価値観、信条等の「経営理念の承継」がありますが、目に見えにくいため、承継の際は形にする必要があります。上図では、「ヒトの承継」「知的資産の承継」が該当します。
資産の承継
いわゆる相続税対策です。後継者が安定した経営を行うには、自社株式、事業用資産を後継者に集中すべきです。資産は目に見えやすいので、事業承継対策というとこちらの対策に目がいきがちです。
まとめ
以上、所有と経営が分離されていない同族企業にとってはどちらの承継も重要です。
しかしながら、あくまでも「経営そのものの承継」がメインです。「資産の承継」は補完的なものです。これを踏まえて、両者2つの側面に配慮した事業承継対策が重要です。