公認会計士・税理士 種山 和男 のブログ

事業承継税制、特例措置で緩和

最終更新日:2022年1月11日

特例事業承継税制では、相続税の納税 が猶予される割合が100%に拡大されるなど、要件が大幅に緩和されています。前回に引き続き、緩和された要件についてざっくり解説します。

【この記事を読んで得られること】

  • 特例 事業承継税制 で緩和された要件は?
  • 特例 事業承継税制 では、適用される後継者数が拡大された?
  • 特例 事業承継税制 適用の際の注意点は?

事業承継税制 の要件緩和

  • 事業承継税制には、一般措置特例措置があり、特例措置には期限がある。
  • 特例措置では、総株式数(2/3→100%)納税猶予割合(80%→100%)と緩和された。
  • 特例措置では、適用される後継者が最大3名に拡大した。ただ、税金だけで考えるのではなく、経営者としての資質を優先すべきと考えます。

今回は「対象株数」、「納税猶予割合」、「承継パターン」について解説します。

総株式数の2/3⇒全株式に緩和

➂対象株数の拡大
株主総会の特別決議要件は、議決権の2/3以上です。後継者として2/3の議決権を所有していれば会社経営に特段支障はありません。したがって、「一般措置」では対象株式が総株式数の2/3に制限されてきました。
「特例措置」では、議決権割合2/3の制限が撤廃されました。

【参考】ブログ「会社支配に議決権はどの程度必要か?

納税猶予割合80%⇒100%へ緩和

➃納税猶予割合の拡大
一般措置では、猶予される相続税額の割合は53.3%(=2/3×80%)でした。要件が厳しい割に猶予される税額が約50%で、不満の声が多かったのが現状です。
「特例措置」では、相続税の納税猶予割合は100%に拡大されました。

複数の株主から取得が可能に

➄承継パターンの拡大
従前の「一般措置」では、経営者1名から後継者1名に対して贈与・相続した株式にかかる贈与税・相続税が猶予されました。
2018年度税制改正で、以下のように改正されました。

一般措置
改正)複数の株主から1名の後継者に対して適用。
(なお、対象株式数2/3、納税猶予割合80%は変更なし)
特例措置
新設)複数の株主から複数の後継者(最大3名まで)に対して適用。

自社株式の取得順序

承継パターンは拡大しましたが、以下のように自社株式の取得順序に制限があります。

【STEP1】
一般措置、特例措置の共通点として、必ず先代経営者から後継者に株式の移転が先に行われる必要があります。

【STEP2】
次に先代経営者以外のその他の株主からの移転を行います。

この順番に注意です。

取得の際の注意点は?

【STEP1】の注意点

1)特例制度の適用を受ける後継者は、全員代表権を持つ必要があります。
図中の長男と次男は代表権を持っている必要があります。
ただ会社が今後も続いていくためには、税金対策を優先して経営者に向いていない者にも株式を移転させるべきではなく、経営を任せられる後継者一名に株式を集中すべきと思います。

【STEP2】の注意点

1)そもそも第三者が後継者に贈与(無償譲渡)するのか(金銭授受を伴った売買ではないか)
2)仮に第三者が後継者に贈与した場合、第三者の相続税申告に後継者が入ることになり、株式以外の財産を知る立場になります。また第三者の法定相続人の相続税が増加します。

といった点で要注意です。

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