今回は、インボイス制度について、いつまでに何をすればよいか解説します。
・インボイス発行事業者になる要件は?
・インボイス制度を考える際の4パターンとは?
2023年度税制改正において、インボイス制度の要件が緩和されました。詳細は以下のブログをご参照ください。
【参考】ブログ「2023年度税制改正大綱~インボイス制度~」
インボイス制度の今後のスケジュール(2022年6月2日現在)
今後のスケジュールは以下のとおりです。
- インボイス登録開始日:2021年10月1日~
- インボイス登録締切日:~2023年3月31日※
- インボイス制度開始日:2023年10月1日~
※制度開始日(2023年10月1日)から適格請求書発行事業者(以下、「インボイス発行事業者」)になるには、2023年3月31日までに登録申請しなければならない点は注意が必要です。
なお、インボイス制度の概要は以下のブログをご参照ください。
【参考】ブログ「インボイス制度による影響は?」
インボイス発行事業者になる要件
インボイス発行事業者になるには、以下の二つの要件を満たすことが必要です。
- 消費税の課税事業者
- 適格請求書発行事業者として国税庁に登録
つまり、課税事業者(消費税を納税する事業者)であっても、インボイス制度への登録が必要です。なお、課税事業者になるには、以下の二つのパターンがあります。
- 特定期間の売上高等の基準で自動的に課税事業者に該当
- 免税事業者だが「消費税課税事業者選択届書」を申請して課税事業者
したがって、免税事業者であっても、2.の方法でインボイス登録が可能となります。
まとめたフローチャートは以下のとおりです。
【参考】ブログ「消費税の課税事業者・免税事業者とは?」
課税事業者、免税事業者、買手側、売手側で行うこと
通常、事業者は、買手側、売手側の両方の側面を持っています。そこで、課税事業者、免税事業者それぞれ側面で、今後行うべきことを解説します。
A 課税事業者で買手側の場合
今後も自社が課税事業者である場合、買手側としての注意点は以下のとおりです。
- 仕入先(売手側)がインボイス発行事業者登録をしているか否かリスト作成
- 免税事業者である仕入先(売手側)との取引価格等について検討
- 消費税申告の際に、仕入税額控除の経過措置適用の検討
なお、仕入先(売手側)がインボイス発行事業者登録をしている場合、以下のサイトに登録されています。
【参考】国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」
法人の場合、国税庁「法人番号公表サイト」で法人番号を把握してから検索します。
個人事業主の場合、マイナンバー以外の番号が発行されます。したがって、上記の検索サイトで直接検索できません。個人事業主の場合は、直接本人に確認するしか手段がありません。個人事業主の場合、国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト公表情報ダウンロード」でデータをダウンロードして確認することができますが、ただ個人的には、インボイス登録した個人事業主名が一覧表で開示される、というのは問題が多いと思います。所在地・氏名・屋号などの情報が削除されたデータになりました(2022年9月26日現在)。
貴社の仕入先に個人事業主が多い場合、免税事業者のリスト作成に時間がかかります。インボイス登録の締切日から開始まで6か月しかありません。事前にある程度把握しておいたほうがよいと思います。
B 課税事業者で売手側の場合
2021年10月1日からインボイス登録は始まっています。登録締切日は2023年3月31日ですが、まだ登録していない場合は早めに行います。2023年10月以降の請求書にはインボイス登録番号を記載します。制度が開始する前に、請求書の形式がインボイスの要件を満たしているか、確認します。なお、基準期間の売上高が1,000万円以下になったら、自動的に免税事業者に戻るわけではありませんのでご注意ください。
C 免税事業者で買手側の場合
自社が今後も免税事業者を予定している場合、特段行うことはありません。仮に、仕入先(売手側)に免税事業者が多いようであれば、上記のサイトで事前に確認してもよいかもしれません。
D 免税事業者で売手側の場合
課税事業者になってインボイス発行事業者に登録するか悩ましいところです。免税事業者の方からよく相談されるのは、主に以下の3つです。
- 免税事業者だが、課税事業者になってインボイス発行事業者になるべきか?
- インボイス発行事業者になる場合、いつまでに何をすればよいのか?
- インボイス発行事業者登録後に注意すべき点は?
分量的に多いので、続きはブログ「小規模事業者のインボイス対応」をご参照ください。
まとめ
さて、今回は、インボイス制度で最近よく聞かれる事項についてまとめました。制度開始まで時間がないためか、国税庁のQ&Aも定期的に増加・更新されています。この記事も定期的に更新しますので、ぜひともメールマガジンをご購読ください。また自社はどうしたらよいかお悩みの場合、オンライン個別相談をご活用ください。