種山会計士

今回は、中小企業の経営者は「事業承継」を誰に相談しているのか、中小企業白書のアンケート結果を見ていきます。
・経営者は引退に向けて誰に相談しているか?
・外部の相談相手で多いのは?
・事業承継を相談する際の注意点とは?

自分の会社を誰に継がせるか

経営者にとって事業承継は最後の重要課題です。
では実際に、事業承継について「誰に」「何を」相談しているのでしょうか?
中小企業庁「中小企業白書2019年版」のデータをもとにみていきます。

約半数は家族・親族など身近な相手への相談が中心

経営者が引退に向けて相談した相手は以下のとおりです。

以下では、「事業承継をした経営者」の相談相手上位5者を抜粋しました。

  1. 家族・親族          49.9%
  2. 後継者            39.4%
  3. 外部の専門機関・専門家    30.9%
  4. 役員・従業員         17.4%
  5. 特にいない          15.3%

1位は「家族・親族」ですが、それでも半数程度です。複数回答にもかかわらず、約半数しか「家族・親族」に相談していません。なお、廃業した経営者の67.2%は「家族・親族」に相談しています。
「相談相手がいない」も15.3%占めています。なお、この選択肢を選んだ時点で他の選択肢は選ばないため単独回答です。従って、残りの約85%が、「家族・親族」「後継者」「外部の専門機関・専門家」「役員・従業員」に相談しています。

外部の相談相手で多いのは?

「公認会計士・税理士」が72.5%

72.5%の経営者が「公認会計士・税理士」に相談しています。なお、廃業した経営者では87.6%にもなります。普段から接点が多く、かつ、会社財産の状況を把握しているためと考えられます。
また事業承継や廃業にあたって、税金がどの程度かかるのかは最大の関心事です。
なお、個別具体的な税務相談は、税理士法上、税理士しかできません。事業承継支援では、非税理士が税務上の助言をしていることがありますが、注意が必要です。

【参考】ブログ「顧問税理士に経営相談ができない、、、

「取引金融機関」は33.0%

次に多いのは「取引先金融機関」です。金融機関は、融資先であれば会社の状況をある程度把握しており、また融資先であれば定期的に経営者と接点をもっています。事業性評価の観点から、企業の事業内容や成長可能性までを適切に評価し、融資や助言を行い企業や産業の成長の支援に積極的な金融機関もあります。ただ経営者にとって、お金を借りている相手に会社の不利になるようなことを積極的に言う動機はありません。そのため、「取引金融機関」側からアクションがあったと想定されます。そもそも事業承継について銀行に相談できると思っていない経営者が大半です。

その他の相談先が極端に低い原因は?

その他の専門機関・専門家の割合が低い原因として、以下の点があげられます。

  • そもそも中小企業経営者と接点が多くない
  • 経営者自身が誰に相談してよいものか把握していない
  • 事業承継という課題自体に緊急性がなく、相談相手をわざわざ探す欲求がない
  • 知名度が低い  など

誰に相談してよいかわからない場合、ひとまず商工会議所などの公的支援機関に相談してみるのがよいと思います。事業者のお困り事の解決ができる専門家とのマッチングの場を提供することも、公的支援機関の役割の一つです。

外部専門機関・専門家は目的に応じて

経営者が実際に相談して役に立ったことをまとめたのが下記の表です。

 上記の共通点として、

  • 「引退するまでの手順や計画を整理できた」
  • 「事業継続の可否を決定することができた」

の割合が高いです。

 「事業の引継ぎ先を見つけることができた」で役立った専門機関・専門家は、「取引先金融機関」と各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」です。

 後継者不在の中小企業にとって、良い条件の買い手候補とのマッチングが重要であり、買い手候補のストックをもつ両者が有効な相談先との回答です。

以上、各専門機関・専門家の得意分野については、事前に把握しておくことをお勧めします。

結局、「誰に」「何を」相談したら良いのか?

事業承継の問題は多岐にわたります。
「誰に」「何を」相談してよいものか、ほとんどの経営者にはわかりにくいと思います。
事業承継は、相続の問題だと思っている経営者の方も多いです。

下記は「事業承継の相談先」の一例です。相談内容に応じて相談先が多岐にわたることがわかります。

上記以外にも、公的な相談窓口や民間のM&A仲介会社、コンサル会社もあります。

まとめ

事業承継対策は多岐な分野にまたがりますので、相談内容に応じて、相談する相手を選ぶ必要があります。従って、「誰に」「何を」相談するのか、経営者自身が考える必要があります。
過去、相談する相手を間違えているようなケースも少なくありません。理想的ですが、事業承継対策全般をコーディネートしてくれる参謀型パートナーがいるのがベストです。