種山会計士

2023年10月1日より消費税のインボイス制度が始まります。
その前段階として、消費税の仕組みについて解説します。

【参考】ブログ「自分で払っている税金の種類を言えますか?

消費税は誰が負担しているのか

消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税(たばこ税や酒税・ガソリン税等)とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。

具体的には、以下の4つの要件をすべて満たす取引に消費税が課税されます。

  1. 国内において
  2. 事業者が事業として
  3. 対価を得て行う
  4. 資産の譲渡、貸付けおよび役務の提供と外国貨物の引取り(輸入取引)

消費税は、生産および流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度、その販売価格に上乗せされます。その結果、最終的に消費税を負担するのは消費者となります。

(以上、国税庁タックスアンサー「No.6101 消費税のしくみ」から一部抜粋)

具体例

次に「消費税の納税までの流れ」について事例を用いて解説します。なお、前提条件は以下のとおりです。

  • A社、B社ともに課税事業者(消費税を納付する義務がある法人)。
  • B社は、ソフトウェアをA社に1,100千円(本体1,000千円、消費税100千円)で販売している。
  • B社で発生する費用は人件費(不課税:消費税がかからない)のみ。売上高にかかる消費税額を納税している。
  • A社は、B社が開発したソフトウェアを、消費者に2,200千円(本体2,000千円、消費税200千円)で販売している。
  • A社で発生する費用はB社からの仕入れのみ。売上高にかかる消費税額から仕入れで支払った消費税額を差し引いた額を納税している。
種山公認会計士事務所作成(無断転載・転用不可)
消費者

実質的に負担している消費税額は200千円。購入先A社に支払っています。
したがって、税務署には納付していません。

A社

売上の際に受け取った消費税額は200千円。仕入の際にB社に支払った消費税額は100千円。
したがって、税務署に納付する消費税額は100千円(=売上分の消費税額200-支払分の消費税額100)。

B社

売上の際にA社から受け取った消費税額は100。経費は人件費のみで消費税が発生しない。
したがって、税務署に納付する消費税額は100千円(=売上分の消費税額100-支払分の消費税額0)。

まとめ

以上、消費税200千円を実質的に負担したのは消費者です。税務署には、A社が100千円、B社が100千円納付しています。
消費税は間接税と呼ばれ、実質的な負担者と税務署への納付者が異なります。このことが、消費税をわかりにくくしています。

インボイス制度を理解するためには、消費税の仕組みは押さえておきたいところです。

【参考】ブログ「インボイス制度による影響は?

【参考】消費税は預り金?

1990年東京地方裁判所の判決

「事業者にとって、売上に係る消費税は、消費者からの預り金ではなく、商品やサービスの対価の一部」という判決が出ました。理由として「消費税の納税義務者は事業者であって、事業者が消費者から預かって納付しているわけではないため」としています。

免税事業者の消費税は益税?

事業者にとって、売上に係る消費税を「預り金」とすると、免税事業者は預かった消費税(の一部)を納税しなくてもよい特権(益税)を持っているようにみえます。インボイス制度の導入理由の一つが「この特権(益税)の是正のため」とすると、過去の判決で「商品やサービスの対価の一部」としていることと矛盾します。ただ、免税事業者が課税事業者と同様の消費税計算をした場合、納税すべき消費税が免除されていたのは事実です。また、支払った消費税のほうが多かった場合、還付請求の機会を失っていたことも事実です。個人的には、消費税の計算方法も踏まえて議論すべき論点と思います。

源泉徴収税は?

なお、似たような制度として源泉徴収制度があります。従業員の給与にかかる所得税を事業者が源泉徴収しています。ただし、こちらは事業者にとっては従業員からの預り金という性質で異論は生じていません。