事業承継を先送りする5つのリスク

このコラムでは、事業承継対策を行わないことで実際に起きるリスクについて、5つのポイントに分けて解説します。

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「そろそろ考えないと」と思いながらも

「事業承継?うちはまだ早いよ」
そんな声を経営者の方からよく耳にします。

確かに、毎日忙しく目の前の業務に追われていれば、将来のことを考える余裕などないかもしれません。

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しかし、事業承継は“明日やる”では間に合わないテーマです。

準備には年単位の時間がかかります。

したがって、“何もしない”こと自体が、最大のリスクになります。

リスク①「後継者が決まらないまま、ある日突然いなくなるリスク」

経営者の健康問題や不慮の事故は、予告なくやってきます。そのとき、会社の“舵取り”は誰がするのでしょうか?

実際に、経営者が急病や事故で倒れた場合、銀行口座の管理・契約書の締結・経営判断などが一時的にストップしてしまうケースは少なくありません。特に代表権や印鑑証明が必要な場面では、会社の活動が完全に止まる可能性すらあります。

誰に引き継ぐのか、どのような役割分担をするのか――それを“決めておく”かどうかで、事業の継続性は大きく変わります。

リスク②株式が相続財産になり、会社が「争族」の舞台に

社長の“遺産”は、土地や預金だけではありません。「自社株式」もまた、相続財産です。

自社株を誰がどれだけ相続するかによって、会社の支配権が分散することがあります。相続人が複数いる場合、「社長になった長男と、株を持っている長女が対立」など、家庭内トラブルがそのまま経営の火種になることも。

さらに、相続税の納税資金が不足していると、やむを得ず自社株を売却したり、会社の資金を流用して納税せざるを得ない事態にも発展します。事前の設計なしでは、家族と会社の両方が危機に陥るのです。

リスク③銀行が「不安視」し、融資条件が厳しくなる

金融機関は、将来が見通せない会社にお金を貸したがりません。

「次の経営者が誰か決まっていない」「代表者保証がどうなるか不透明」――そんな会社に対して、金融機関は保守的なスタンスを取る傾向があります。融資条件の見直しや、新規の借入拒否、保証人の追加要請など、資金繰りに直接影響を与える場合も。

リスク④従業員の不安が高まり、離職リスクが増す

会社の将来が見えないと、一番に不安になるのは、現場で支えてくれている社員たちです。

「社長がいなくなったらこの会社はどうなるんだろう」――そんな不安が社内に広がると、優秀な社員ほど早めに転職を考えます。実際に、後継者不在の企業では、経営者の健康悪化や高齢化とともに人材流出が始まることが多いです。

逆に、後継者の顔が見え、経営方針が示されている会社では、社員の安心感が高まり、社内の団結力も強まります。

リスク⑤売却(M&A)も後手に回り、選択肢がなくなる

「子どもには継がせない。でも第三者に引き継いでもらえれば…」と思っていても、すぐにM&Aができるわけではありません。

事業承継型M&Aは、相手探し、条件交渉、デューデリジェンスなど、時間と準備が必要なプロセスです。業績が良く、社内の体制が整っているうちでないと、好条件での売却は難しいのが現実です。

引き継ぎたい相手が見つかっても、タイミングが遅れれば、相手が他社を選ぶ可能性も。「売りたくなった時には、売れなくなっていた」というケースも実際にあります。

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まとめ

事業承継は、承継方法をすぐに決めることから始める必要はありません。

まず確認したいのは、後継者、株式、税金、財務、個人保証などについて、何が未決定で、どの論点に時間がかかるのかです。

親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)のいずれを選ぶ場合でも、準備には一定の期間が必要です。

今すぐ結論を出さなくても、何を、いつまでに確認するかは早めに決めておく必要があります。

後継者、株式、財務、M&Aなどを含めて現状を確認し、何から着手すべきかを明確にします。

相談内容がまとまっていなくても構いません。

代表が直接対応|秘密厳守|オンライン可

この記事を書いた人

種山公認会計士・税理士事務所/代表
TMC株式会社/代表取締役
公認会計士・税理士・中小企業診断士

大手監査法人、大手証券会社、税理士法人、経営コンサルティング会社での実務を経て、2011年に独立。25年以上にわたり、税務・会計・財務・経営に携わる。

事業承継の相談・対策支援 累計100社超。東京都中小企業振興公社の経営相談員として、相談対応延べ1,535件(2012〜2025年度)。

現在は、事業承継・M&A、財務、組織再編・資本政策、後継者・幹部伴走を中心に、オーナー社長の意思決定を支援。

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