毎年110万円を生前贈与している方も多いと思います。今回は、2024年1月から始まった新しい贈与制度についてシミュレーションしました。
※この記事は、2022年12月27日に初公開した記事「2023年度税制改正により贈与はどう変わる?」に最新情報を加味して更新したものです。
【参考】財務省「令和5年税制改正の大綱 二 資産課税」
目次
前提条件
以下の前提条件でシミュレーションします。
- 甲(親:70歳)は現金1億円を所有
- 配偶者はすでに死亡
- 子は1人(40歳)
- 甲(親)は2031年(令和13年)1月に死亡
- 2030年(令和12年)12月時点での相続財産は90,100千円(=100,000-1,100×9年分)と仮定
- 毎年の贈与税の申告は、翌年2月1日~3月15日の間に、もらった人(子)が行う
- 連年贈与課税については考慮しない
- なお、生活費による相続財産の減少は考慮しない
贈与税については、以下のブログで解説しています。
【参考】ブログ「そもそも贈与税とは?」
今回取り扱ったパターン
- 生前に贈与をしなかったケース
- 暦年課税で毎年110万円を贈与したケース
- 相続時精算課税で毎年110万円を贈与したケース
- 2023年まで暦年課税、2024年以後は相続時精算課税で毎年110万円を贈与したケース
【参考】ブログ「2023年度税制改正大綱~相続税と贈与税の一体化~」
生前に贈与をしなかったケース
相続時の所有財産、相続税の対象となる財産ともに100,000千円となり、子が負担する相続税額は12,200千円です。
暦年課税で毎年110万円を贈与したケース
このケースでは、2024年(令和6年)の贈与から影響が出ます。持ち戻し期間は3年間から7年間に延長されています(下記の黄色の箇所)。延長された4年間分(2024年~2027年)の贈与金額累計から1,000千円が相続財産への加算額から控除されます。したがって、最終的に相続税の対象となる財産は96,800千円となります。また、子が負担する相続税額は11,240千円です。なお、毎年1,100千円贈与の税務申告は従来同様に不要です。